大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和28(あ)5603 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人Aの負担とする。

理 由

被告人B、同C、同D、同E、同F、同G、同Hの弁護人植木敬夫、同小沢茂、

同岡林辰雄、同青柳盛雄、同大塚一男、同上田誠吉、同石島泰、同竹沢哲夫、同佐

藤義彌、同池田輝孝の上告趣意について。

第一点乃至第三点は違憲をいう点もあるが、原審が所論のように予断偏見のもと

に裁判権の独立を放棄し良心に従つて裁判をしなかつたとの事実を窺い得べき証左

は存しないから、違憲の所論はその前提を欠き論旨は結局単なる訴訟法違反、事実

誤認の主張に帰着する。(殊に第三点所論の検証調書、写真等は、事実審において

事実認定の資料とされてはいない。)

同第四点は単なる法令違反の主張に過ぎない。

同第五点は違憲をいうがその実質は単なる訴訟法違反の主張に外ならない。

同第六点は違憲をいうが原審が所論のように「憲法によつて要請された良心に従

い憲法及び法律のみに拘束さるべき職責を故意に放棄した」との事実を認むべき証

左は存しないから違憲の所論はその前提を欠き、論旨は結局単なる訴訟法違反の主

張に帰着する。

同第七点は判例違反を主張するが、具体的に判例を示していないから不適法であ

る。

同第八点は単なる法令違反の主張に外ならない。

同第九点及び第一〇点は判例違反をいうが引用の判例は本件に適切ではなく、所

論は結局単なる法令違反の主張に帰する。(事実審で認定された判示事実自体で被

告人等がそれぞれ、所論の「指揮ヲ司ル」行為及び「広ク衆ニ抽ンデテ特ニ」騒擾

- 1 -

の勢を増大するに適する行為をなしたものであることが窺われるのであつて、事実

審が引用の判例に反する判示をしたものとは認められない。)

同第一一点は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張を出でないものである。

以上説明したとおり論旨はいずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記

録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

被告人I、同J、同G、同Dの各上告趣旨はいずれも事実誤認の主張を出でない

ものであり、被告人Bの上告趣意は単なる訴訟法違反、事実誤認の主張であつて、

すべて刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を精査しても同四一一条を適

用すべきものとは認められない。

被告人Aの弁護人矢部克己の上告趣意第一点は事実誤認、単なる訴訟法違反の主

張であり、同第二点は違憲をいうがその実質は単なる訴訟法違反の主張に帰し、同

第三点は量刑不当の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号により、なお被告人Aにつきては同一八

一条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

昭和二九年一〇月二八日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!